簡易水冷で分かったこと
- カラカラ音がしている場合はポンプに水が回らず空回りしていることがある
- 冷却液は循環さえしていればあまり冷却性能には変化ががなかった
- 簡易水冷のラジサイズが大きいからといって水枕の性能が良くなってるとはいいがたい
- 簡易水冷の冷却液は青色だった
- 冷却液を交換するとエア抜きが大変でリザーバーが必要になる
- 交換にはそれなりのパーツを改めて細かく揃える必要性がでてくる
- 必要なチューブ径は内径7~8mmであり、場合によっては3/8インチより小さい場合がある
- 簡易水冷も横置きと縦置きとで水流量に変化があり、ラジエターを高い位置に置く場合は注意が必要である
簡易水冷のAINEX WaterMAX240を分解
ホースの分解
切り落としたところからフィッティングの処理
フィッティング部分に残ったチューブを丁寧にニッパーで切っていきます。
ラジエター側は非鉄金属なので多少カッターが入っても大丈夫ですが、ポンプ側はほとんど場合はプラスティックなので間違ってニッパーで切らないようにします。
ラジエター側
ポンプ側
ホースを接続
Ainexのラジエターとポンプですが、どうやら内径が8mm以上あるようで、ミドルサイズのチューブの”ID3/8-OD1/2”のチューブであればポン付けが可能でした。
ちなみにノンクリップでテストしています。
まったく漏れる様子もありませんでしたが、念のため水漏れ対策はしたほうが良いと思います。
簡易水冷のラジエターは何種類かこのフィッティング部分のサイズが違うようですが、経験からいってスパイラルタイプのプラスティックのようなチューブは外形が小さく、ゴムチューブのようなタイプは内径がID3/8に近いです。
ラジエターのみ付属のラジエターから一般販売のものに交換
このタイプはチューブタイプといって初めからジョイント部分がラジエターについているタイプです。
フィッティングがいらないのでコストがその分やすくはなりますが、チューブ選択ができなくなります。
私の構成は ID3/8-OD1/2 なのでこのタイプではチューブが緩んで漏れます。
※ ID3/8 とは チューブの内径が 3/8インチということです。
※ OD1/2 とは チューブの外形が 1/2インチということです。
緩いチューブ系をテープで解消
ラジエターに防水テープを巻いていきます。水道の蛇口等に使う白いテープです
本当はチューブとの密着面積を増やすためになるべく均等になるようにしたかったのですが少々失敗しました。
ポンプ側も同様にテープで処理
漏水防止にチューブにクリップを追加
リザーバーなしでどうやって給水するか
分岐アダプターを使って給水ルートを作ります。
本来はここもクリップで止めなければなりませんが、実験のため割愛しました。
本体に組み込む前にリークテスト(漏れのテスト)を行います。
ちなみにこの水冷テストに用いているのはASROCKのTranceformerという超レアな板です。
こんな板でテストするとは思われますが・・・たまたまこれのシステムをいじりたかったので。
ということで、この下に向いているジョイント部分を上にあげて、そこから冷却液を入れようとしたのですが・・・
とにかくエア抜きが大変です。もともとポンプも非力なため、空気が入ってしまっているとまったく動きません。
1時間くらい格闘しましたが、今後のメンテナンスのことを考えるととてもこれでは無理ということで、この状態ではNGとしました。
簡易水冷のポンプ側を別のものに交換
せっかくなので、ポンプ側ももっと規模の小さいものを用意、変更してみました。
よく売られているCORSAIRのH60。H60ではラジエターが120と小さいので、これのポンプだけ使い、ラジエターだけ240にするという方法です。
これは先ほどのジュバラチューブタイプではなく、ゴムチューブタイプです
切断方法は同じです。
取付完了
先ほどは注水方法が非常に難しかったため、今度はリザーバーを用意
取付ケースにリザーバーの取付穴をあけ、リザーバーホルダーをつけます。
フィッティングについて
リザーバー側のフィッティングは市販されている中華製コンプレッションタイプを選択しました。外見が格好いいですので。
接続密度を高める
リザーバーにPLUGとフィッティング、チューブなどを取り付けていきます。
リザーバー側のフィッティングやPLUGは実は一番漏れやすい場所です。
私はこの連結のゴム部分にワセリンを塗っています。薬局で売られてる不純物の入ってないタイプです。
リザーバーの取り付け
アクリル製のリザーバーは固いホルダーにつけるときにすぐに傷がつきます。
ガラス製を選択する人もいるようですが、あまり固いホルダーの場合はホルダーだけバンドタイプにすれば軽減されます。
※私は滑りのよいワセリンを接触部分に少量塗ったり、ゴムをかませています。
借組み
ビデオカードこそ大したものではありませんが、板がToranceFormer、CPUが875K、メモリがADATA製の金なのでこれだけで一桁上の金額になりますがなにより飛ばすともう売られてないパーツたちなので非常に神経を使います。
リークテスト
リークテストには、水漏れが起きても良いように対策を講じる必要があります。
なるべくたくさんのタオルをそこらじゅうに敷き詰め、漏れてもすぐ止めれば下にまで及ばないようにします。
また微妙な漏れを確認できるように、さらにジョイント部分などの漏れやすい場所にはティッシュを薄く張り巡らせます。
今回は注水はもちろん、排水のことも考えて、排水用プラグも取り付けました。
リザーバー左側のPLUGの栓を抜いて、冷却液を入れて、締めたら電源を入れてを繰り返します。ポンプはまだCPUに取り付けないため、ポンプの3PIN電源を専用基盤から出力するようにしてポンプのみ起動しています。
当初の予定よりも早く注水ができました。しかし、ポンプの能力がさきほどよりも貧弱なのか流水量がわからないくらい流れが見えません。
各部署からエア抜きをするために、立てたりして冷却水を回します。
1時間ほどポンプを回して、漏れもまったく確認ができなかったのでこのままタオルとティッシュを除去しました。
完成
起動テスト
無事に起動し、このあとWindowsまで行けました。
しかしここで新たな問題がでました。
フローメータを流水量の関係でとりつけませんでした。
ぎりぎりまで冷却水を入れたのですが、立ててしまうとリザーバーの上部カバー側に残った空気が行ってしまい、波打たないので流れているかどうかわかりません。
それと改めて横置きにして、シャットダウンすると空気が戻るのですが、それがたまにCPU側のチューブへ流れます。
本来はパワーオンで再びリザーバー側に戻されるのですが、それがたまにパワーがないのか押し戻せないことが度々起こりました。
そのときですが、ポンプ部分から簡易水冷特有の”チリチリ”や”カラカラ”などの乾いた音がしました。
以前に簡易水冷を使っていた時はこれがなにかわかりませんでしたが、チューブが半透明になっているのでその原因がわかりました。
この音がしているとき、リザーバーとCPUとの間にある空気がまったく動きません。つまり冷却液がポンプに滞留している空気で循環してないということがわかりました。
あの音は、簡易水冷でも冷却水が回ってない時に発生する音 ではないでしょうか。
チューブを透明タイプにして冷却水の流れが見えるのでこのことがわかりましたので、簡易水冷を使っている場合はそこに注意が必要です。
今回はケースを動かしたり、チューブ部分を手で押すなどしたところ、空気だまりが動き出し冷却水が循環するのがわかりました。
冷却水についての動きは以下動画で確認ください。
流水量がわからない
このH60の場合冷却水の循環量は極端に少なく、冷却に対して必要な循環をしているのか微妙です。ケースを一度立てて、ラジエター側への上部循環がちゃんとできてるかはこの段階では不明です。
負荷テスト
ここで適正な状況を把握するため、このまま起動させて、Prime95のストレステストを行ってみました。
以下がその結果です
ただストレステストを行うのではなく、きちんとOC設定も入れてあります。
- CPU 4000Mhz
- メモリもこのマザー上限の2400Mhz
- CPU電圧 1.352V
40分程度回してみましたが、普通の反応というか、それなりに冷却ができています。
リザーバーのサイズをもっと小さするのと、フローメーターをつけ、ラジエターの置き方を工夫すれば使えるレベルではないでしょうか。
Primeを停止しアイドリング状態でしばらく放置しましたが、若干CPUの温度の戻りが悪いですが、温度は低下してきたので、循環していると思えます。
空気だまりがあると動かないので使えない
空気だまりによっては循環しなくなるということが気になったので、今回このシステムでの採用は見送ることにしました。
それに代わり、当初使っていたAINEXのWaterMAX240の簡易水冷用ポンプを再び採用することにしました。H60のポンプを外し、CPUとのグリスの塗布状況をチェック。
念のためポンプ側にも漏水防止
再び取付及びリークテスト
同様にPLUG部分から注水しました。
240タイプ用の簡易水冷ともなると、やはり流水量がある程度あるようで、波がそこそこ立っていて循環するのがわかりました。
また空気だまりが多少あってもパワーの分、排水の勢いで空気が動いて抜けていきました。
動画は以下で確認できます。
再び負荷テスト
H60同じ状況になるように、ケースを立てて、時間も同じ時間で計測し結果を見ます。
これはポンプの性能よりも水枕の性能自体のほうが大事であり、ポンプ自体は動いてさえいれば問題ないという結論になるのでしょうか。