BIOS上のPstateを使った省電力化設定

※注記
Pstate設定はBCLKを数値を変更すると初回は反映されますが、次回起動時以降リセットされデフォルトに戻ってしまい、うまく設定できないこともあります。

RYZENはWindows上でRyzenPlanをインストールすることである程度の省電力化ができますが、OCしている状態ではあまり省電力化にはなりません。それはIntelのSpeedStep機能が一応AMDにもあるのですが効率よく動作していないためです。それを強制的に動作させるのがP stateになります。

省電力にするために

  • クロックが固定していないこと
  • 電圧がMANUAL設定になっていないこと
  • P-Stateで動作していること

これらが条件になりますので、OCするためにクロックをMANUAL打ちで行っていたり、電圧を固定していると省電力化できないことになります。
そこでP-Stateでの設定を使っていくことになります。
ただ、これらを行う前に、OCのテストを入念に行い、きちんとストレステストがPASSできているかがわかっていないといざ設定しても、ブラックアウトしたときに原因がOCによるものなのかP-Stateの入力ミスなのかがわからないのでまずOCによるテストをしっかり行って上で使用してください。

OCのテストも最大のOC設定だけではなく、中間で使う設定もそのクロックと電圧を把握しておく必要があることも付け加えておきます。

中間設定や最低設定は負荷がかかると自動的に上位のクロックと電圧に切り替わるので動作がある程度できていれば問題ありません。

今回はASUSのC6Hでの設定を例にあげて行います。
まずこれまでに行ってきた記事で設定したマザーのOCの設定を変更していくものと仮定します。

ExtremeTweakerの設定

  • クロック周波数はP-Stateで行いますので、AUTOにします(MANUAL入力するとこっちが優先されて反映されません)
  • AI Overclock Tunerの設定はいれておいても問題ありません。こ
  •  メモリクロックの入力も問題ありませんのでストレステストでPASSしたメモリクロックに合わせておきます。
  •  ただし、ベースクロックをいじっている場合は、P-State設定には反映されていないのでその分の計算が必要になります
  •  BCLKは今回100.2と依然行ったストレステストを元に入力しています
  • Costom Core RatioはAUTOにします。
  • CPU Core RatioはAUTOにします。
  • CPU Core Voltageですが、AUTOで行えば後にPstateで入力した数字が反映されます
  •  Offsetの場合はVIDに対して入力した数字が上乗せか差し引きして設定できます
  • 今回はほぼゼロに近い0.00625のOffsetで合わせています。

SOCについては0.95Vに指定

P-Stateの設定場所

  1. Advanced
  2. Zen Common Options
  3. Custom Core Pstates と進み
  4. Acceptをクリック

Pstate設定

ここで入力した数字がPstate0を基本にPstate1や2など下にいくほど条件によってクロックに反映されます。
テストで完走したデータを元にCustm Pstate0 にOC設定を数字で入力します。
今回は 100.2×40 でテストが完了しているので 4008Mhzというクロックに合わせていきます。

Pstateではオーバークロックを指定するのに

  • FID
  • DID
  • VID

という3つの値で決めます。

IntelでOCしてきた人にはちょっとわかりにくいかもしれません(私もAMDは本当に久しぶりなのでだいぶ考えました)
AMDを長くやってきた人ならすぐにピンとくると思います。
これはK10STATでやってきたOCと同じクロック設定の仕方なのです
K10STATでのクロック生成について を参照すると
【Frequencyは下記FIDとDIDの数値を得た上で最終的に生成される実周波数の数値になります。ここを直接指定することは出来ません。】
リンク=http://k53ta.wiki.fc2.com/wiki/K10stat

各名称の意味

FID

1つ数字をあげるごとに基本周波数に対して既定周波数がプラスされ周波数を生成します。

DID

FIDが上昇の為の項目だったのに対し、逆に下降為の数値を扱う項目になります。1上昇ごとにFIDで設定された周波数に対して既定の数値で割った周波数に修正を行います。

VID

これは入力電圧(要求される電圧ではなく実際の入力電圧)になり、ここの設定が先の2つのクロックの設定時に反映される電圧になります。

Pstate入力時のルール

クロックの高いものを上位にし、下部に行くほど低く設定します。
細かくすればするほどできますが、あまり極端にクロックの差をつけるとクロック変動時に挙動がおかしくなる場合もあるのでクロックの差をなるべく狭くし、緩やかなクロック差を作っていくと良いでしょう。

今回は4段階で合わせてみました

各設定の入力規則

数字の入力についてですが、入れ方が少し特殊で2桁の数字でローマ字と組み合わせて使います。このあたりはデフォルトを元に数字を検討します。4008Mhzになるように FIDの数字をかえていきます。適当に入力しても下の少し薄くなったところのFrequency (MHz)で入力した数字の結果が出ますから割と簡単です
今回はFIDにA0と入力し、DIDはそのままの8という数字で4000Mhzが出たのでこれを使います。
先ほど話した通り、ここでの数字は100Mhzが基本でBCLKは反映されませんので、実際は4008Mhzで動作することになります。
VIDの数字もOCテストで行った数字を元に近い数字が 20 で1350000 とでました。この数字は電圧で1.35Vを意味しますので20と入力しました

Pstate0~Pstate3の設定例

Pstate3に関してはどうやら1800Xの仕様なのか今のところ反映できていませんでした。
これで設定は終わりですので最後にSAVEを押してOSを起動します。

OS起動時の挙動

クロックのほうは上が4008.8Mhz、下が2003.9Mhzまで変動し電圧は1.350v~0.4vまで変動していますので、うまくいきました

負荷テストについては普通にLLCも効いてOffsetにしていますので、電圧が盛られ1.375Vまで昇圧し安定しています。

これで省電力化のほうも一通り終わりましたので、あとは細かいところを詰めていけばよりよく使っていけると思っています。

※注意点追記設定入力後、OSを起動してもすぐにクロックダウンしません。しばらく気長に時間をみて下がるか確認してください

※ここまでで一つわかったことは、電圧入力をFID、DIDで設定した場合高負荷時に電圧降下が低く、電圧が下がらずしっかり盛られるという挙動がありました。このことから、比較的低いLLC(※1)においてより高いクロックを狙えるような気がします。

※1 ロードラインキャリブレーションの略でBIOS上のオーバークロック設定項目欄に存在する

有志が作ったその他のP-State管理ソフト

こちらの方がその他のP-State管理ソフトK47TKというソフトを公開されています


https://hbkim.blog.so-net.ne.jp/2017-10-08
以下はリスタートマネージャ無効化版
https://hbkim.blog.so-net.ne.jp/2017-12-28